インターネット上の匿名性の変化
ブロックチェーンがインターネットの根幹に関わるようになると、これまでのインターネット上での匿名性は、どのように変化していくのでしょうか。
日本人の多くは匿名性を好む気質を持っていますが、ブロックチェーンの世界での匿名性の性質はより強固なものとなる反面、どこまでも追跡が可能な一面もあり、旧来のIPv4時代とは大きく異なる性質を持つことが予想されます。
インターネットは、人々が自由に情報をやり取りできる素晴らしいツールですが、同時にプライバシーとセキュリティの問題も抱えています。
インターネット上での匿名性は、人々が自分の正体を隠して活動できることを意味しますが、その度合いはインターネットの技術的な仕組みによって大きく変わります。
この記事では、IPv6とブロックチェーンという二つの技術が、インターネット上での匿名性にどのような影響を与えるかについて考察します。
IPv6とは
IPv6とは、インターネット上のデバイスを識別するためのアドレス(IPアドレス)を表す新しい規格です。現在、ほとんどのデバイスはIPv4という規格でアドレスを割り当てられていますが、その数が限られているために枯渇の危機に直面しています。
IPv6は、IPv4よりもはるかに多くのアドレスを提供できるため、この問題を解決することができます。しかし、IPv6には匿名性に関するメリットとデメリットがあります。
匿名性のメリット
メリットとしては、IPv6ではプライバシー拡張機能という仕組みが導入されています。これは、デバイスがインターネットに接続するたびにランダムなIPアドレスを生成することで、デバイスの追跡や識別を困難にするものです。この機能は、ユーザーのプライバシーを高める効果があります。
匿名性のデメリット
デメリットとしては、IPv6ではNAT(ネットワークアドレス変換)という仕組みが不要になります。NATは、複数のデバイスが一つのIPアドレスを共有することで、インターネット上で見えるアドレスと実際のアドレスを分離するものです。
本来は、アドレス不足を解消するための技術ですが、副次的に匿名性を高める効果もありました。NATが不要になるということは、デバイスがインターネット上で直接見えるようになるということです。これは、ユーザーのプライバシーを低下させる可能性があります。
ブロックチェーンとは
ブロックチェーンとは、分散型の台帳(帳簿)技術です。ブロックチェーンでは、取引やデータなどの情報が暗号化されたブロックと呼ばれる単位にまとめられ、ネットワーク上の参加者(ノード)によって検証されて連結されます。
ブロックチェーンは、中央機関や仲介者が不要であり、改ざんや偽造が困難であることが特徴です。ブロックチェーンもまた、匿名性に関するメリットとデメリットがあります。
匿名性のメリット
メリットとしては、ブロックチェーンではユーザーの正体や個人情報を明かさずに取引やデータのやり取りができることです。
ブロックチェーンでは、ユーザーは公開鍵と秘密鍵と呼ばれる暗号化の鍵を持ち、公開鍵はアドレスとして機能します。ユーザーは、自分の公開鍵(アドレス)を他のユーザーに知らせることで、取引やデータのやり取りができます。
このとき、ユーザーの本名や住所などの個人情報は必要ありませんので、匿名性が保たれることになります。
匿名性のデメリット
デメリットとしては、ブロックチェーンでは取引やデータの履歴がすべて公開されていることです。
ブロックチェーンでは、ノードがブロックを検証するために、ブロックに含まれる情報がすべてネットワーク上に公開されます。これは、透明性や信頼性を高める効果がありますが、同時にプライバシーを侵害する可能性もあります。
例えば、あるユーザーのアドレスが別のユーザーに特定された場合、そのユーザーの取引やデータの履歴がすべて見られてしまうことになります。そうすると匿名性が損なわれる可能性があります。
まとめ
以上のように、IPv6とブロックチェーンは、インターネット上での匿名性に対して異なる影響を与える技術です。インターネット上での匿名性は、ユーザーのプライバシーとセキュリティに関わる重要な問題です。
しかし、匿名性は絶対的なものではなく、技術的な仕組みや社会的な環境によって変化します。インターネット上での匿名性をどのように捉えるかは、ユーザー自身の判断に委ねられています。
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