半減期とは何か?をサクッと
(出典:CoinMarketCap)
ビットコインの設計上のアイデアに「流通速度を調整する」という仕組みがあります。流通速度をコントロールして”供給量に一定の上限を設けるシステム”が組み込まれています。
半減期とは、この流通速度を半分にする時期のことです。また、ビットコインの半減期は、採掘(マイニング)に対する報酬も半減することを意味しています。
(大雑把すぎるかもしれませんが、一番重要なことなので覚えやすく短めに。)
ビットコインのマイニングについては、以下のページが参考になります。
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半減期の役割は2つ
「半減期とは何か?」では、大雑把な説明になってしまいましたので、ここでは少し掘り下げます。
最初にビットコインの基礎的な部分を確認しておきましょう。
ビットコインの総発行量
ビットコインは、採掘(マイニング)という仕組みによって、およそ10分ごとに新規に発行されます。つまり、総発行量が増えていきます。
ただし、この10分ごとの産出量はずっと一定というわけではありません。一定間隔でマイニング報酬が半減を繰り返し、最終的には2140年に総産出量が2,100万ビットコインになったところで新規発行は終了します。
半減時期は、21万ブロックが採掘完了したタイミングで行われます。21万ブロックを採掘するのに要する時間は、およそ4年間です。
この4年毎にマイニング報酬が半減していくイベントのことを「半減期」といいます。
では、なぜこのようなイベントがビットコインのシステムに組み込まれたのでしょうか。その目的は、二つです。
希少性を高める
「ビットコインの総発行量」でも記述したようにビットコインの半減期により、ブロックごとに生成される新しいビットコインの量が減少します。これが意味するところは、「新規のビットコイン発行量が減り、購入単価が上昇する」です。
一般の市場で考えると、毎日食卓に上がる野菜が何らかの理由で不作となった場合、「今年の野菜は不作だったため、値段が高騰してます」という具合です。需要が一定の場合、供給量が不足すると起きる現象です。
下のチャートは、2011年以来のビットコインチャートに、過去3回の半減期と4回目の予測時期を記しています。
チャートでは、半減期から一定期間をおいて最高値を更新していることが分かります。これを「希少性が高まったから」と一言で片付けてしまうのは短絡過ぎですが、半減期の目的は達成されていると考えても無理はないと思います。
価格の安定化を図る
繰り返しになりますが、ビットコインのシステムは「総発行量」に上限を設けています。発行を際限なく続けていくと、希少性という点で魅力が薄れ、インフレーションにつながってしまいます。
つまり、半減期のもう一つの目的は、インフレによってビットコインの価値が下落することを防ぐことにあります。
下図は、ビットコインの発行量とインフレ率を示したグラフです。
青色がビットコインの発行量、紫色がインフレ率です。赤の楕円箇所は、4回目の半減期が予測されている2024年にあたります。
(出典:DMM Bitcoin)
このグラフを見ると、4回目の半減期が到来する時点で、ビットコインの総産出量の90%以上が発行されることになります。発行量のグラフが急勾配から緩勾配になっていく様子も分かります。
この記事の冒頭で記述した「流通速度を調整する」という機能が働いていることが視覚的にも確認できます。
また、紫色の折れ線グラフは、半減期毎にインフレ率が低下していくことが分かります。このことは、ビットコインがデフレ的な要素を持った資産になりつつあるのでは?という見方もできます。
まとめ
約4年毎に訪れるビットコインの半減期は、そのタイミングで新規の発行ペースが遅くなります。その結果、総発行量(2,100万BTC)の上限に近づくにつれてビットコインの希少性が増すことになります。
よって、ビットコインの半減期は、ビットコインの価値を維持し、通貨としての信頼性を高める役割を果たしているといえます。
半減期後の価格は上昇するか?
これまでにビットコインは3度の半減期を経ています。
日付 | BTC価格 | 採掘報酬 |
2012年11月28日 | $12 | 25BTCに半減 |
2016年7月9日 | $650 | 12.5 BTC |
2020年5月11日 | $8,800 | 6.25 BTC |
2024年4月? | ? | 3.125 BTC |
下図は、2011年以来のビットコインチャート図です(再掲載)。
チャート図を見ると、半減期を過ぎた後、12ヶ月~18ヶ月後に最高値を更新してきました。そして、次の半減期までの間に価格は下落して、再び上昇を開始して半減期を迎えているというのが共通した動きに見えます。
つまり、最高値更新時から振り返ってみると、前回の最高値からの下降は、再上昇のための「押し目」と捉えることもできます。
そこで、もう少しチャートを掘り下げて確認してみましょう。
1回目半減期後の値動き
1回目の半減期は、2012年11月28日です。
下図は、1回目の半減期後に最高値を更新した時のチャートをくり抜いています。
半減期から約12ヶ月後の2013年11月に、1BTC=$1,240まで上昇しました。
そして、約3ヶ月後の2014年2月に上昇した分のすべてが戻され(全戻し)ています。以降は、大きなチャートで俯瞰すると、緩やかな上昇が確認できます。
2回目半減期後の値動き
2回目の半減期は、2016年7月9日です。
下図は、2回目の半減期後に最高値を更新した時のチャートをくり抜いています。
半減期から約17ヶ月後の2017年12月に、1BTC=$19,800まで上昇しました。
そして、約12ヶ月後の2018年12月に上昇した分の約80%が戻されています。これが底値となって再上昇し、次回の最高値更新に向かう押し目となりました。
3回目半減期後の値動き
3回目の半減期は、2020年5月12日です。
下図は、3回目の半減期後に最高値を更新した時のチャートをくり抜いています。
半減期から約18ヶ月後の2021年11月に、1BTC=$69,000まで上昇しました。半減期時のビットコイン価格は1BTC=$8,800でしたので、上昇率600%以上という驚異的な数字を叩き出しました。
そして、「恒例の戻し」です。
約12ヶ月かけながらトレンドを形成するように下降してきました。前回と同じく、上昇した分の約80%が戻されています。
これが底値となって再上昇し、次回の最高値更新に向かう押し目となりました。
4回目の半減期に向けて
こうしてザックリとでも分析してみると、傾向が見えてきます。
傾向1
半減期後は、12ヶ月~18ヶ月後に高値を更新する。
傾向2
高値更新後は、80%程度の戻しがある。
傾向3
高値更新後の下降は、押し目となって上昇の起点になる。
4回目の半減期以降に、最高値($69,000)を更新するかどうかは不明ですが、ビットコイン信者としては期待が膨らむところです。
ビットコイン価格が$120,000に?
以下は、2023年7月11日付けのREUTERSからの抜粋です。
【記事の見だし】スタンダードチャータード、2024年のビットコイン予想を12万ドルに引き上げ
ロンドン、7月10日(ロイター) - トップ仮想通貨ビットコインの価値は、今年5万ドル、2024年末までに12万ドルに達する可能性がある スタンダードチャータード(STAN.L)は月曜日、より多くの供給を蓄えるために。
スタンダード・チャータードは、いわゆる「仮想通貨の冬」は終わったとの見方に基づき、4月にビットコインの2024年末の予想価格を10万ドルと発表したが、同行のトップ為替アナリストの1人であるジェフ・ケンドリック氏は、ビットコインには現在20%の「上昇余地」があると述べた。
いや、さすがに12万ドルはないでしょ?