YoutubeにおけるVtuberのアバターと関連NFTアバター
Vtuberとは
仮想的なキャラクターを使って動画やライブ配信をする人のことを「バーチャルYouTuber」(VTuber)と呼んでいます。
Vtuberのアバターは、3Dモデルや2Dイラストなど様々な形式で表現されます。Vtuber自身の個性や魅力を表す重要な要素ですが、同時に、ファンとのコミュニケーションや収益化の手段でもあります。
最近では、VtuberのアバターをNFT(Non-Fungible Token)として販売する動きが見られます。NFTとは、ブロックチェーン技術を使って、デジタルコンテンツに唯一性や希少性を付与する仕組みです。一般的な仮想通貨とは異なり、同じものが存在しないユニークなトークンです。
NFTによって、Vtuberのアバターは、単なる画像や動画ではなく、コレクションや投資対象としての価値を持つようになります。
人気Vtuber キズナアイ
例えば、人気Vtuberのキズナアイは、自身のアバターをNFTとして販売しました。キズナアイのNFTは、限定数や特典が異なる4種類のコレクションで構成されています。
最も高額なコレクションは、「キズナアイ・オリジナル・エディション」というもので、価格は1ETH(当時のレートで約40万円)でした。このコレクションには、キズナアイのオリジナル3Dモデルや動画が含まれており、購入者はキズナアイとオンラインで会話できる権利も得られました。
このように、NFTによってVtuberのアバターは、ファンとの特別な関係や体験を提供することができます。
NFTに潜む課題
3Dモデルや2Dイラストなどに唯一性や希少性をもたらすことができるNFTの技術は、イラストやアートばかりではなく、写真や画像、音楽や動画、ゲームアイテム、メタバース上の土地、ツイートなど多岐にわたっています。
既に活用されている例も多数あり、ビジネスの可能性としても大きく期待されているNFTですが、一方で解決しなければならない課題も浮き上がってきています。
そこで、歴史が浅いことが要因の課題とNFTの構造そのものが要因になっている課題をそれぞれ一つずつ取り上げます。
著作権と環境に関する課題
著作権問題は、NFTの歴史が浅いことが要因になっています。新しい技術やサービスが普及していく過程では、同時に法整備も進めていく必要があります。
環境問題は、NFTの構造が要因です。取引の際に行われる「マイニング」において、必要とする電力量が環境に与える影響を無視できないほど大きいのです。
以上の二項目について考察します。
著作権問題
NFTによって売買されるデジタルコンテンツの著作権や使用権が不明確であることです。例えば、VtuberのアバターをNFTとして購入した場合、そのアバターを自由に使えるわけではありません。Vtuber本人や所属事務所などが設定した規約や条件に従わなければなりません。
そもそも、NFTには所有権が認められていませんので、著作権がどうのこうのと訴えることはできません。
こうした状況に対して、一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)は、2021年4月に「NFTビジネスに関するガイドライン」を策定しました。また、同年11月には、凸版印刷株式会社を筆頭にKDDI、NTTdocomoなど5社が「デジタル通貨フォーラムNFT分科会」を設立しました。
このように、NFT関連の法整備に向けた動きが活発化しています。
また、NFTによって売買されるデジタルコンテンツが本物であるかどうかも確認する必要があります。偽物や盗作品が混ざっている可能性もあります。DX化の推進によって、真贋を判断するツールが開発されるのを期待しましょう。
環境問題
NFTを作成したり取引する際に発生する大量の電力消費やCO2排出量のことです。
イーサリアムの生産方法(マイニング)は、当初プルーフ・オブ・ワーク(PoW)を採用しており、使用する電力量は年間94TWh(テラワットアワー)に上っていました。
世界の電力消費量TOP10で比較すると、10位のスイスが464TWhですから、相当大きな数字だと理解できます。排出される二酸化炭素量も無視できない数字でしょう。
そして、2022年9月15日、イーサリアムは生産方法を変更しました。その結果が下のグラフです。
縦軸が使用電力量で横軸が年代です。
これまでの生産方法であるプルーフ・オブ・ワーク(PoW)からプルーフ・オブ・ステーク(PoS)に置き換えたことで、電力必要量を少なくとも99.84%削減することに成功しました。
その結果、イーサリアムの規格を基盤とするNFTは、取引時に発生していた環境負荷が大幅に改善されました。
最後に
Vtuberのアバターは、NFTという新しい技術によって新たな価値や可能性を持つようになりましたが、同時に新たな課題やリスクも抱えるようになりました。
今後もVtuberのアバターとNFTの関係は変化し続けると思われますので、Vtuberのファンや関係者はこの動向に注意しておく必要があります。